明治十八年(1885)に「西洋かるた」の販売が公認された。この事情を説明したのは宮武外骨である。彼は昭和四年(1929)に次のように述べた。 「さて采コロや花骨牌、めくり骨牌等は賭博用のものであるから売買を厳禁されて居たのであるが、明治十九年(1886)頃に政府は其禁を解いて公然の売買を許す事にした、それは外国より輸入するトランプの札を、日本政府は賭博用具として其輸入を禁じたので、外国公使が抗議を申込み『トランプは賭博具にも悪用されるが、元来は遊戯用である、其遊戯玩弄品の輸入を禁ずるのは没分暁の甚だしい事である、賭博をなさんと欲する者は、トランプの札がなくても出来得る、何物何事を対象としても賭博は容易に行い得るではないか』と理屈詰めの談判に、政府は其輸入を許す事にしたある、そこで西洋のトランプを許す上は、日本の骨牌も采も解禁にせねばならぬといふ評決の結果であった」[1]。 こういう指摘に合