昨年8月15日、東京は朝から大粒の雨に見舞われていた。しかもこの日は平日の火曜日。普通なら多くの人出は期待できない条件がそろっていた。しかし靖国神社には朝から多くの人が集まっていた。ざっと2000人くらいにはなっただろうか。群衆の半分以上は若者だった。 そこへえんび服を着た小泉首相(当時)が参拝に訪れた。若者たちは一斉に手を上に伸ばした。まるで大きな波のうねりを見ているかのようだった。それぞれの手に握りしめられた数百台のデジタルカメラがフラッシュの光を放った。各報道機関も対応に追われていた。韓国や中国では「歴史を無視する行為」との声が上がり、日本では「アジア外交に暗雲をもたらした」との声が上がった。 しかし小泉首相は確実に大成功を収めた。小泉首相のショーマンシップは、学校で愛国心を学ばなかった若い世代を靖国神社に引き寄せることに成功した。通常、日本の若者たちが靖国神社をにぎわすのは、神