情報化・消費社会における コミュニケーションと自然 加藤 貞通 1 情報化・消費社会におけるコミュニケーション 情報テクノロジーと情報産業の発展が著しい今日、 現在の水準にも勝る飛躍的に便利 な社会についての様々な夢が語られている。 夢には危惧が背中合わせであることが多い。 人間と自然との関係、あるいは環境問題は、21 世紀最大の問題の一つであるが、情報テ クノロジーの発展とどう関わっているのか、危惧されることは何かを探ってみよう。で きれば危惧を解消し楽しい自然との関係を回復したいものである。 今日の情報化・消費社会(information-driven consumer society)は、人間の自然な ニーズ(欲求)の水準を離陸し、はるかな上空で大量生産・大量消費・大量廃棄にふけ る資源浪費・環境破壊の社会である。その社会においてメディアによる情報操作は、次 々に新たな消費欲望
ジョン・ダワーは『敗北を抱きしめて』の中で、パンパンを始めとする占領下の日本人たちがアメリカに魅せられたのは、その豊かで快適な生活ゆえだと述べていた。それはアメリカ的消費社会を体現しているからだと解釈できよう。占領時の日本は第一次産業就業人口が五〇%近くを占める、まだ農耕社会であった。 私は一九九七年に著した 『〈郊外〉の誕生と死』(青弓社、増補版 論創社近刊)において、太平洋戦争がアメリカという消費社会と日本という農耕社会との戦いであり、八〇年代になって日本が占領時のアメリカとまったく同じ産業構造となり、消費社会化したことで、占領の完成を見たと書いた。その詳細は拙著を参照してほしいが、アメリカこそは戦前からの世界に先駆けた消費社会だった。 消費社会を一言で定義づけることは難しいけれども、その第一の指標は第三次産業就業人口が五〇%を超えたところに求められると言ってもかまわないだろう。その指
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