九州に、イノシシが大繁殖し、農作物を荒らすなど島民の生活が脅かされている島がある。佐賀県唐津市の加唐(かから)島だ。人口約100人に少なくとも300頭が生息している。人への危害はないが、捕獲が難しく、「このままでは人間が島から追い出されかねない」と懸念する声も出てきた。 「でかいイノシシが、わなにかかった。手伝ってくれ」。島の緒方正善区長(66)に、島民から連絡が入った。草やぶに仕掛けたわなに、体長約140センチの雄が横たわる。まん丸と肥えた姿に「こいつらが畑を食い荒らしよったのか」と、怒りがこみ上げた。 玄界灘に浮かぶ加唐島は面積約2・8平方キロ。古代朝鮮の百済国王「武寧王(ぶねいおう)」が誕生した伝説がある。 島民によると、15年ほど前、約3キロ離れた九州本土から泳いで渡ったとみられるイノシシが棲み着いた。 周辺の海で泳ぐ様子も目撃されている。唐津海上保安部の河崎輝希さん(27)は、犬