2022年9月23日に開業した西九州新幹線(長崎~武雄温泉間)。計画では九州新幹線とつながるはずだが、残る佐賀県内区間の着工にめどが立たず、離れ小島状態の長期化は避けられない。なぜこのような状態が続くのか。「問題の元凶」と批判の声もある佐賀県の山口祥義知事が、日経ビジネスの単独インタビューに応じた。
塩野義製薬を含む日本の製薬会社のワクチン開発が欧米勢より遅いのはなぜでしょうか。 手代木功・塩野義製薬社長(以下、手代木氏):ワクチンや治療薬、診断薬を開発するフットワークが重いのではないかと見られていることについては、真摯に受け止めないといけないと思っています。 もちろん、日本の製薬会社は規模が欧米に比べて小さいとか、バイオ医薬品の潮流に全体として乗り遅れたとか、そういった理由もあるでしょう。ただ今回、欧米で接種が始まっているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンにしても、ウイルスベクターワクチンにしても、日本にそうしたプロジェクトをやるベンチャーや製薬会社がなかったのは、産官学でそうした基盤を育ててこなかったからです。その点については、欧米に学ぶところは多いと思います。 また、緊急事態だという割には、緊急時に備える制度が不十分という点もあります。米国では、Emergency Use
山田 昇[やまだ・のぼる]氏 ヤマダホールディングス会長。1943年、宮崎県生まれ。日本ビクター(現JVCケンウッド)入社、73年に群馬県前橋市でヤマダ電化サービスを創業。74年有限会社ヤマダ電機設立、83年に株式会社化。「前橋南店」を開設し、本格的にチェーン展開を開始。全国への出店に加えダイクマやキムラヤセレクトなどの買収で事業を広げた。2008年、おいの一宮忠男氏に社長を譲り会長兼最高経営責任者(CEO)に。13年社長兼CEOに復帰。16年会長。 群馬県前橋市で個人経営の電器店から始め、日本最大の家電量販に成長しました。なぜ勝ち抜けたのでしょうか。 私はよく人と時と地の利と話すのですが、それが大きいと思います。小売業は地域の小さい店からスタートして、流通を育て、地域量販になり、全国規模の量販店ができるという発展の過程がある。例えばダイエーさんもそうでした。私が独立したときは、たまたま地
海外勢が売り越す週が徐々に増え…… しかしその後、「日本経済再生」への過大な期待の反動が徐々に広がる中で、海外勢が日本株の売り越しに回る週が、徐々に増えていった。累積買越額は15兆円前後にしばらくとどまっていたものの、2018年から明確な右肩下がりになった。外国の投資家が日本経済について抱く関心も、はっきりと薄れていったように思う。 財務省が9月17日に発表した9月6~12日の週のデータの時点で、上記の累積買越額は2136億円まで縮小していた。アベノミクス相場の「貯金」が完全になくなるまであと一歩の数字である。だが、連休の関係で、その次のデータ発表は10月1日にずれ込んだ。9月13~19日と20~26日の2回分が、まとめて発表される段取りである。 だが、これとは別に、民間の週次の統計がある。9月28日に東京証券取引所が発表した9月第3週(14~18日)の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋
日本漁業の歴史の中で獲れなくなった魚の代表例として思い浮かぶのがニシンだ。ニシン漁は江戸期から戦後にかけて北海道を中心に一大産業となり、多くのニシン長者を産んだ。身は昆布巻きや燻製として、卵は数の子として広く親しまれてきた。しかし、現在の漁獲量は往時の1%にも満たず、輸入品が台頭している。 ニシンが枯渇した背景には、質より量を追い求める漁の形態や、資源の回復力を過信して規制を設けずに漁を続けたことがある。資源減少が近年話題となっているクロマグロなどと通じる問題がある。 北海道沖の日本海に浮かぶ焼尻島。クルマで走れば一周20分程度の小島では、漁業が約200人の住民の重要な生活の糧となっている。漁港を見下ろす高台に、古びた木造建築の家が残る。黒檀や檜をふんだんに使い、蔵も備えた延べ床面積569平方メートルの広大なつくり。建造当時は瀟洒な豪邸だっただろうその建物は、北海道の長者番付十傑にも入った
日本の再成長への一手を考える「目覚めるニッポン」。今回は柳井正ファーストリテイリング会長兼社長。政治的な発言を控える経営者が増えるなか、柳井氏はあえて直言をやめない。怒りともいえる危機感を示し、企業経営から政治まで大改革の必要性を説く。 >>「目覚めるニッポン」シリーズ記事一覧へ 柳井 正氏 Yanai Tadashi ファーストリテイリング会長兼社長 1971年ジャスコ(現・イオン)入社。72年、実家の小郡商事(現・ファーストリテイリング)に転じ84年から社長。2005年から現職。01年からソフトバンクグループ社外取締役。山口県出身、70歳。(写真=竹井 俊晴) 最悪ですから、日本は。 この30年間、世界は急速に成長しています。日本は世界の最先端の国から、もう中位の国になっています。ひょっとしたら、発展途上国になるんじゃないかと僕は思うんですよ。 国民の所得は伸びず、企業もまだ製造業が優
2021年に90万人下回ると予想されていた日本の出生数が、2年前倒しで90万人割れとなる見込みが濃厚となった。厚生労働省がこのほど発表した人口動態統計の速報値によれば、2019年1月から7月の出生数は前年同期比5.9%減の51万8590人で、今年の出生数が90万人割れするのはほぼ確実となったからだ。国立社会保障・人口問題研究所は17年、19年の出生数は92万1000人で、90万人割れするのは21年(88.6万人)とする推計を出していた。 想定より早いペースで少子化が進んでいることに対しては、団塊ジュニア世代(1971~74年)の高齢化が進み、出産適齢期でなくなったことや、20代の女性が578万人、30代の女性が696万人と、出産期の女性の数自体が減っていることが主な理由に挙げられる。しかし、こうした人口動態の変化は、17年時点である程度把握できていたはずだ。なぜ狂いが生じたのか。 問題を見
江戸時代から150年続く山口県長門市の老舗旅館、白木屋グランドホテルが2014年1月に破産した。7代目社長になるはずだった元専務の平井真輔氏(仮名)は、会長の伯父と社長の父の下、経営再建に奔走した。だが、世代間の考え方の違いで改革の速度が遅れた。旅行スタイルが団体客から個人客中心に変わる流れに対応できず、行き詰まった。経営破綻に至るまでの内実を平井氏が明かす。 先代が会社に残っている場合、後継者が改革を進めようとしても、先代が従来の方法にこだわり、抵抗勢力になりがちです。老舗ほど踏襲したくなるものは多いでしょう。その溝を埋めるのには時間がかかり経営改革が遅れます。私はこれを経験しました。 白木屋(しろきや)グランドホテル(以下、白木屋)では、2000年に専務として私が戻ったとき、伯父で5代目社長を務めた会長の太郎(仮名)と、父で6代目社長の豪太(仮名)の2人がいました。彼らとの価値観のギャ
セブン&アイ・ホールディングスが7月1日に開始したスマホ決済サービス「7pay(セブンペイ)」で不正アクセス被害が発生した。SNS上で「30万円を不正利用された」「19万円を不正にチャージされて使われた」などの被害が相次いで報告され、セブン&アイは7月3日にクレジットカードとデビットカードからの入金手続き停止を発表。7月4日には全ての入金手続きを止めた。セブン&アイの発表によると、7月4日の午前6時時点の試算で被害者は約900人、被害額は約5500万円に上る。 4日に会見したセブン&アイ傘下のセブン・ペイの小林強社長は「詳細な原因を調査中」と話した。だが、原因の一つとしてセブン-イレブン・ジャパンのアプリ「セブン-イレブンアプリ」が使っていた会員システム「7iD」のお粗末ともいえる仕様が考えられる。 セブンペイはこれまでもあったセブン-イレブンアプリに決済機能として組み込まれた。セブン-イ
夫に育休から復帰後2日で転勤辞令が出たことや、有給休暇の取得を拒否されたことなどがツイッターで告発され、ネットでの炎上が続くカネカ。本誌が6月3日付け「「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃」で報じたとおり、同社IR・広報部は「当事者が当社の社員であるとはっきりするまで事実の有無を含めてコメントできない」との姿勢を崩さなかった。 一方、日経ビジネスの取材で、3日中にカネカの角倉護社長から社員宛てに、今回の炎上に関するメールが出されたことが分かった。複数の同社社員が認めた。 メールでは「育児休業休職直後に転勤の内示を行ったということはあります」として夫婦の主張の一部を認めたほか、「当該社員に誤解を生じさせたことは配慮不足であった」として、広報のコメントとは一転して、ツイッターでの発言主の夫が同社の社員だったことも併せて認めた格好だ。 角倉社長からのメッセージを以下に全文掲載する(
日本では人口が減少し、人手不足が深刻化している。有効求人倍率は好景気を背景に2010年以降上昇を続け、18年には1.61倍と、1973年の1.76倍に次ぐ過去2番目の高水準を記録した。だが、人手不足を原因とする企業の業績不振の中には、よく見ると「本当に全てが人手不足のせいなのか疑わしい」事例があるようだ。日経ビジネス3月25日号「凄い人材確保」では、こうした疑惑の人手不足も研究した。 言い訳としての「人手不足」 民間調査会社の帝国データバンクによると、いわゆる「人手不足倒産」は増えている。2018年1年間で、従業員の流出や採用難などが最も大きな理由になって倒産した会社は153件。「人手不足」が叫ばれ始めた13年から始めた調査の中では18年の件数が最も多く、この5年で4.5倍となった。 人手不足に陥ってから倒産に至るまでにはいくつかの段階を踏むので、帝国データバンクとしては人手不足が「直撃し
日韓関係がかつてないほど冷え込んでいる。元徴用工訴訟で日本の対韓世論は悪化し、韓国国会議長が天皇陛下に謝罪を求める発言をしたことで、関係修復の糸口が見えなくなっている。日経ビジネス、3月11日号特集「韓国 何が起きているのか」では政治から経済まで日韓をとりまく環境の変化を取り上げた。経済的な結びつきも大きい中、日本と韓国は良好な関係を取り戻せるのか。韓国通として知られ、長年の日韓友好の功績から、韓国政府から叙勲されたこともある女優の黒田福美氏に聞いた。 黒田福美(くろだ・ふくみ)氏 女優・エッセイスト 女優として活躍する傍ら、1980年代から韓国に往来するなど30年以上にわたって韓国との友好親善に努めてきた。2011年には韓国政府から「修交勲章興仁章」を叙勲。 黒田さんは日本の著名人のなかでも有数の韓国通として知られています。現在の日韓関係の状況をどう見ていますか。 35年間にわたって韓国
北海道勇払郡安平町。まっすぐな一本道から少しだけ見下ろす場所に北海道胆振東部地震被災者のプレハブ型応急仮設住宅80戸がひっそり建っている。前日から降りだした雪が場所によっては膝よりも深く積もっていた。仮設に住まう70代とおぼしき男性が、大きなスコップを巧みに使い、駐車場の雪かきをしていた。 絨毯のように敷き詰められた真っ白なパウダースノーを踏み、敷地内におじゃました。渡辺氏が話しかけると、男性は作業の手を休めて応じてくれた。 「ここに移ってからもう1か月になるな。生活? そりゃ変わったさ。なんにもなくなってしまった。季節もこれから冬本番だし、辛いのはこれからだ」 ぶら防取材班がこの地を訪れたのは2018年12月の上旬だ。 「昨日は4度くらいだったけど、今日は8度くらいになるだろうなぁ」 男性はスコップの柄に体を預けてつぶやいた。 北海道民は冬の気温に、いちいち「マイナス」をつけたりしない。
7月17日午後、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪の宴会場「飛天」。約1000人の聴衆でびっしりと埋め尽くされた客席に向けて、楽天の三木谷浩史会長兼社長はとうとうと語りかけた。ステージには「Rakuten EXPO 2018」の文字。インターネット通販サービス「楽天市場」の方針説明会として開催しているイベントだ。客席を埋めていたのは、楽天市場に出店している企業の関係者たちだ。 自社によるサービスで多くの品目を扱う米アマゾン・ドット・コムとは異なり、楽天市場は外部の小売業者に多く出店してもらい品ぞろえを充実させるショッピングモール型の通販サイトだ。楽天にとって出店者は“同志”のような存在と言える。三木谷社長が決断した携帯電話事業の免許を取得した狙いを、その同志に初めて直接説明する。これが今年のハイライトの一つだった。 昨年末、携帯電話事業に新規参入すると突如表明した楽天。2019年10
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