黒と青を基調にしたシックな衣装で登場した安藤さん。 これまでのお遊び的な要素はほとんど身を潜め、 弦とピアノというミニマムな(けれどすごく重厚な)バックに乗って、 これでもかこれでもかと安藤さんの歌声がホールに響きます。 今日のライブは、 歌い手としての安藤裕子の一つの集大成といえるのではないでしょうか。 それほどに、素晴らしい歌声でした。 そもそも、安藤さんご自身もおっしゃっていたように、 安藤裕子というアーティストを、歌手として認識している人はそれほど多くないと思います。 少なくとも私は、安藤さんを歌手と言うのには少し抵抗を覚えます。 失礼ながら、ものすごい声量があるというわけでも、 テレビ番組でやっているような点数化できる歌のうまさがあるわけではおそらくありません。 安藤さんの魅力は、第一に楽曲、第二に声、 そして、そこに、何というのか、 安藤さんの、人間としての揺れというか不安定さ