アニメと映画の違いのひとつに、完全な静止画をどう解釈するかがある。映画ではカメラの固定ショットをどれだけ長尺にしても、そこには時間の流れや動きが発生してしまうし、人物は微弱にせよ動いている。そして静止画そのものはあくまで"止まった絵"として提供される。ピクトグラフのように。アニメは違う。完全な一枚絵、静止画を写すだけで(それはフィルムブックと原理的には変わらない)、そこに意味と時間の経過を読み取ってしまう不思議さが、アニメの静止画にはある。 『エヴァ』では、一部のゴダールのように、連続性のある静止画を重ねることで効果を狙うような演出は、基本的にはされていない。すべての静止画は同じシーンの他のショットと不連続である。ここで劇中の静止画を二種類に分類しよう。1.ストーリー展開上の必然性がある静止画と、2.必然性がない静止画。1.と2.の分類はもしかしたら恣意的かもしれない。それは、「その静止画