「エキスパートの直感は信用できるか」と題されているこの章では、「信用できない」派であるカーネマンが、「信用できる」派であるクラインと、「経験豊富な専門家が主張する直感はどんなときなら信じてよいか」について共同研究したエピソードが紹介されている。その共同研究をしている最中に、グラッドウェルの「第一感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」が出版された。この本には、ギリシャ彫刻の真贋を美術専門家が鑑定する場面があり、複数の専門家が何となくおかしい、これは偽物であると感じるが、なぜそう感じたのかはうまく説明できないという事例が紹介されており、これこそが直感の威力であるとグラッドウエルはしていた。 カーネマンは臨床的予測がアルゴリズムに劣るとするミールの研究に影響された。一方、クラインは消防士の作業に密着して取材し、現場で彼らがどのように決断するかについて研究してきた。クラインの研究によれば、彼