骨董収集歴50年で、コレクション数はおよそ100点。元々建築業をしており、バブル全盛期はとても羽振りが良く、儲けは全て骨董に注ぎ込んできた。お宝はコレクションの中で一番高く手に入れたもの。30年程前、骨董仲間の紹介で知り合った人から見せてもらった。極めて高かったが、一目で気に入り購入した。 色絵古九谷の大皿ではない。古九谷は絵付けが命なので、絵に格調があってメリハリが効いており、また豪快でもある。依頼品はまったく絵が弱い。木の枝、葉、桃などは塗り絵のよう。一番目立つのは鳥の顔。江戸時代あるいはそれより古いものは野生動物の目を非常に鋭く描く。依頼品はまるでカナリアか文鳥のような優しい顔をしている。また、白磁の全体に胡麻がふられているが、これはわざと土の中に不純物を入れて多く胡麻を出しているので不自然。裏には約束通り角福の文様を入れているが、上手にまとめてあって荒々しい野趣に欠けている。