先に紹介した全国連絡会の世話人でありながら、ダウン症の娘・星子さんを養護学校に通わせた最首悟は、「現行の普通学校も養護学校も拒否します」という。自分の求める「普通学校」は星子さんや子どもたちひとりひとりが生き生きと通えるようなもので、今あるそれではない。現行の普通学校に組み込まれるのではなく、あるべき普通学校をつくりましょうよ、と。もしかすると、それは個々への配慮をベースとした「養護学校的なもの」こそを教育における「普通」、スタンダードにしていく試みになるのかもしれない。 もちろん、今ある普通学校に障害――とくに知的障害――をもつ子ども一人一人に合わせた学習を保障し、卒業後の人生を設計する能力が不足していることから、分離教育を支持する声もたくさんある。けれど、「普通学校」自体をつくりかえようとするものであっても、「普通学校」が決して理想的でない現状の中で生きていくためのベターな方法をさぐる