経済閣僚のあいだでは「外需依存体質を脱却し、内需主導の日本経済をめざす」とのマクロ経済政策姿勢が共有されているようだ。たしかに、長期にわたる不況とそれによる雇用情勢の悪化へ対処するために内需の拡大は欠かせない要件である。しかし、問題はその手段だ。 外需から内需へという主張としばしばセットで語られるのが為替レートである。そして、「円高にもメリットはある」「円高は原材料価格の低下を通して内需を後押しする」といった解説を目にすることは多い。しかし、これは本当だろうか? 最近、海外に行ったことがある人ならば、誰もが円高の力に驚いたことであろう。数年前と比べると海外旅行時の買い物は大幅に安くなった。こういった素朴な経験から、「円高になると海外製品が安く買えてお得」というイメージが形成されるのは無理からぬことであろう。しかし、1万円で買えるものが増加しても、同時にその1万円を稼ぐのがより困難になっ