「恋愛」と「普通」のあいだ 久保ミツロウ『モテキ』2 好きにしなさいアンタの人生なんだから 幸世が嫌々生きてるのなんてのが一番見たくないわ 『モテキ』久保ミツロウ 前回の続き。今回は「藤本はなぜ恋愛にこれほどまでに拘るのか」という事について考えてみます。 ところで、藤本は30歳で派遣社員という世間的にはけっこう「ヤバい境遇」です。しかも連載中にぎっくり腰になったおかげでその仕事すら辞めて田舎に引っ越してしまいます。ぎっくり腰になって数か月~半年東京にいる貯金すらない、結構ギリギリな生活をしているわけです。ところが、藤本はそういった自分の社会的な境遇について何か積極的なアクションを起こすわけではありません。正社員になろうとしたり、仕事を探したりするわけでもなく、ひたすら流されていって親には特に考えていたとも思えない「俺、田舎で仕事探すから」発言をしたりする一方で自らの「非モテ性」に拘り