文学部とは、人が人について考える場所です。 ここでは、さまざまな人がさまざまな問題に取り組んでいます。 その多様性あふれる世界を、「文学部のひと」として、随時ご紹介します。 編集部が投げかけた質問はきわめてシンプル、 ひとつは「今、あなたは何に夢中ですか?」、 そして、もうひとつは「それを、学生にどのように伝えていますか?」。 佐藤 康宏教授(美術史学研究室) 第1の答え 阪神タイガースのことは40年近く夢中で応援し続けていますし、仕事よりもだいじだということは学生にも伝えていますが、それでも阪神4連敗の翌日に修士論文の相談をしたいといって来る大ぼけの大学院生がいるんですね。「どあほ!」とどなりたいのをがまんして相談に応じたら、その日5連敗しました。教育なんて虚しい仕事ですわ。 美術史とのつきあいは阪神ほど長くも深くもありませんが、人を夢中にさせる学問であるのは事実です。どんなに昔に作られ