■『果てしなき探求 知的自伝』上下 著者:カール・ポパー(岩波現代文庫) これは、シルプの編纂による『現存哲学者叢書』のポパーに充てた巻に収められた自伝である。この叢書には、他に、アインシュタイン、ホワイトヘッド、サルトルなど、その巻が企画された当時存命であった多くの哲学者が含まれている。ポパーは、非常に幅広い分野について、深い知識と洞察を持った人であって、それは古代ギリシア哲学者の言説の解釈から、歴史学などの社会科学、物理学の量子力学の解釈問題にまで及んでいる。そのポパーが、自己の知的な展開を振り返ってまとめたのが本書である。読者は、ポパーの弛みない知的探求の歩みを目の当たりにする思いになるであろう。(石垣壽郎) ■『論理学研究』 著者:E・フッサール(立松弘孝訳) (みすず書房) フッサールの『論理学研究』を学部の学生に対する「お薦めの一冊」に選ぶなどとは、いくら哲学科の学生相手と