先日、田中秀臣氏の『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』を読んだ。バーナンキの経済思想とはどういったものであるかを、経済理論、歴史研究、政策提言という三本柱を立てて読み解いていくなかで、言うなればそのネガとして日本銀行の失政が浮かび上がるという、じつにスリリングな本である。 田中氏はいわゆるリフレ派の急先鋒にして轟天雷。そんな氏が満を持して上梓したのが、本書『デフレ不況 日本銀行の大罪』だ。中心となるのは、書名が物語るとおり苛烈な日銀批判。その切っ先は鋭く、射程は長く広い。 一部は過去の著作でしめされた議論をベースにしたもの。だが、最新の情勢をふまえて大幅な加筆修正をくわえてアップデートされ、しかもリライトによっていっそう読みやすくなっているので、銭失い感はない。この一冊に盛りこまれた情報量からすれば、お買い得というべきだろう。 本書は『ベン・バーナンキ』とおなじく、デフレ不況をもたらした
