今回からは,著作権法やDRM技術に詳しい専門家のインタビューをお届けする。まずは,知的財産法学の大家である中山 信弘氏に聞いた。(本稿は,日経エレクトロニクス,2008年3月10日号,pp.62-63から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります) 中山 信弘氏 東京大学 法学政治学研究科・法学部 教授 現在の著作権法がパンクしてしまっているのは,誰の目にも明らかです。現行の著作権法は,プロのクリエーターとプロのメディア企業との契約を想定しています。制定当時は関係するプレーヤーが限られていたんです。それがインターネットの登場やデジタル技術の発展で,誰もが関係する法律になった。機器メーカーも含めたいろいろな企業,そして一般の人たちもかかわってきます。それなのに,1件1件の許諾を前提としている。つまり,マスに対応できていないんですね。 では,どう直したらいいの
前回は,ダビング10延期の原因になった,「iPod課金」をめぐるメーカーと権利者の議論を整理しました。今回は,YouTubeなどの動画共有サイトや,ユーザーが作成したコンテンツ(UGC:user generated content)の隆盛にまつわる争点を取り上げます。 みなさんは,話題になったテレビ番組を見逃していたときにどうしますか?あらかじめ録画してあればいいのですが,そう都合よくいかないことが普通です。そんなときにYouTubeなどの動画共有サイトで検索してみる方は,かなりいるのではないでしょうか。 テレビ番組などの映像の著作権者は,動画共有サイトで番組を公開することを普通は認めていません。YouTubeを運営する米YouTube,LLCは,著作権者の権利を侵害しているとして,法律違反に問われないのですか? YouTube社が運営しているのは,ユーザーが自由に動画を投稿し,みんなで共
視聴制御やコピー制御を目的とした従来のDRM技術の限界が見えてきた。コンテンツの海賊行為の防止に権利者が満足できるほどの効果を持たない一方で動画共有サイトに代表されるインターネット上の新しい活動を阻害してしまうからだ。「コンテンツをより多くのユーザーに届けたいが,それが生み出す価値は低下させたくない」。権利者のこうした閉塞感を打開するのは,コンテンツの新しい流通形態を実現する技術だ。従来の発想を超えて,新しいDRMの枠組みを用意する必要がある。(本稿は,日経エレクトロニクス,2008年3月10日号,pp.54-55から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります) 暗号化を施さない音楽配信の台頭,地上デジタル放送を自由にコピーできる装置の登場,違法行為スレスレの動画共有サイトの興隆…。映画や音楽といったコンテンツの流通が,混迷の度合いを深めている(「DRM崩
文化審議会 著作権分科会傘下の私的録音録画小委員会の今期第3回会合が2008年7月10日に開催された。最後に「今日はパンドラの箱を開けてしまったようだ」と主査の中山信弘氏が振り返った今回の会合は,各委員がそれぞれの立場からの主張を繰り返し,合意に至る道筋は見えないままだった。 当初は2008年5月末に開催される予定だった第3回会合は,同年5月8日の第2回会合で文化庁が提示した私的録音録画補償金制度の改定案(Tech-On!の関連記事1)で合意する見通しが立たなかったため延期されていた。事務局は今回の会合に新たな改定案を提出することはせず,改定案に対して寄せられていた質問に回答するかたちで意図を詳しく説明した。 併せて,2008年6月17日に明らかになった,Blu-ray Discレコーダーを私的録音録画補償金制度の対象機器に加えることで経済産業省と文化庁が合意したこと(Tech-On!の関
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知的財産権研究会のシンポジウムに行ってきた。1985年から2ヶ月に1回つづけられ、100回記念という息の長い研究会だ。テーマは「著作権法に未来はあるのか」。驚いたのは、会長の中山信弘氏が「今のままでは、著作権法に未来はない」と、現在の制度の抜本改革の必要を説いたことだ。特に検索エンジンが「非合法」になっている問題については、6月16日の知的財産戦略本部の会合で「合法化」の方向が出され、来年の通常国会で著作権法が改正されるという。メモから再現すると、こんな感じだ:著作権法は、300年前にできて以来、最大の試練に直面している。特にPCやインターネットで膨大なデジタル情報が流通し、数億人のユーザーがクリエイターになる時代に、限られた出版業者を想定した昔の法律を適用するのは無理だ。私も最近、教科書を書くために初めて全文を読んだが、こんなわかりにくい法律は他にない。昔建てた温泉旅館に建て増しを重ねた
内閣官房の知的財産戦略本部は2008年4月24日,「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の第1回会合を開催した(図1)。この専門調査会は,2008年3月13日に開催した知的財産戦略本部の第19回会合で設置が決まったもの。「デジタル技術の発展やネットワーク化の浸透に対応した知財制度の課題と対応の在り方に関する調査・検討を行う」ことを趣旨とする。専門調査会の会長には2008年3月に東京大学を退官した法学政治学研究科・法学部 元教授の中山信弘氏(西村あさひ法律事務所 顧問)が就任した。 ネット時代の著作権制度の役割とは 第1回会合で事務局は議論のたたき台として二つの論点を挙げた。具体的には,(1)デジタル・ネット社会における著作権制度の役割をどのように捉えるべきか,(2)デジタル・ネット社会の進展の中で著作権制度が不適合を起こしている点はどこにあるか,またその具体的な問題はどこに生じ
知的財産権法に関する研究の第一人者として知られ、知的財産戦略会議や文化審議会などの委員も務める東京大学の中山信弘教授が、2008年3月末で東京大学を退職する。同氏の最終講義が1月22日に行われ、同氏が教鞭を振るった約40年間における知財をめぐる環境の変化、知財法制や人材育成などに関する今後の課題などを説いた。中山氏は4月以降、西村あさひ法律事務所顧問として引き続き知財関連の業務に携わっていく予定。 40年前の知財法は「諸法」の1つだった 中山氏は東京大学法学部を卒業後、1969年に助手として東京大学に就職。学生時代に師事した教授の下で著作権法の書籍の編集作業を手伝ったことがきっかけで、知財法に興味を持ったという。以来、一貫して知財法を専門としてきた。「当時は、知財法がドイツ語の直訳で『無形財産権法』と呼ばれていた時代。独占禁止法などと共に『諸法』と位置付けられていた。1973年に無形財産権
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