いよいよ超大型爆撃機B-36が出てくるところまでたどり着きました。アメリカがどんな形で第二次世界大戦を戦おうとしていたかという問題と長距離爆撃機の開発は表裏一体、切り離せないものがあります。ここまで読み進まれて「英国の敗北を予測してB-36を開発・・・」といった話を信用する方はもはやいらっしゃらないとは思いますが、御用と御急ぎでない方はどうぞお付き合いください。 1938年はアメリカの航空戦略が攻勢的色彩を一気に強めた大きな転換点でした。この時に登場した「レインボー5」と呼ばれるアメリカの戦争計画はそれまでのやや観念的な想定と異なり、アメリカが西半球防衛を確立した上でイギリス、フランスと協調してドイツ、イタリアとの戦争を戦うことを明確にしたもので、目的のはっきりした具体的な戦争計画です。この計画はフランスの崩壊と日本の枢軸側への参入を機に改正拡張され、さらに1941年1月のアメリカ・イギリ