シンガポールはFW1人を残して9人が自陣深くまで引いてブロックを作り、日本にスペースを与えなかった。アジアの戦い、をまさに味わった夜だった。 雀百まで踊り忘れず。もう、癖というか、習性というか、性癖に近いものなのだろう。日本代表攻撃陣のポジショニングのことである。6月16日のシンガポール戦前半の攻撃は、日本が引いた相手と対峙した際の見慣れた光景だった。 中へ、中へ、それでも中へ。目指せバルサ。どんなに狭いエリアでも、ショートパスの連続で崩しきってやるぜ。選手たちのそんな声が聞こえてきそうなほど、本田圭佑が、香川真司が、宇佐美貴史が、4-1-4-1のシステムでゴール前を固めるシンガポールの守備ブロックに向かって突撃していく。 いくら日本のほうが技術で勝っていて、ショートパス攻撃が得意でも、あれだけの人垣をすり抜けていくには、パスのタイミングとコースがぴったりと合って、しかもそれが2~3本続か