雨がコンクリートを打つような音でハッとなり、スジコスミオは意識を取り戻す。雨だと思われたのはシャワーから出る水が風呂場の床に吐き出される音で、スジコスミオは自宅の風呂場の椅子に座り、自分がTシャツを着たままシャワーを浴びていることに気がついた。だがなぜか下半身には何も身につけていない――スジコの自由の状態になった下半身にある、異性と契りを交わすための器官は硬く、強く奮い立っていた。まず、スジコはその奮い立つ様子に驚いた。なぜなら彼の股間に備わった、今では肉の串のようになっているそのシロモノは、ここ一年半ほどのあいだずっと“眠った”ままの状態で、小用を足す以外の用途に使えない柔らかな肉の塊に過ぎなかったからだ。ある身体器官としては不全であるとしかいえないその状態に陥った原因をスジコは精神的な理由だ、と人に説明していたが、説明の聞き手からすれば明らかに酒の飲みすぎだった――スジコよりも一回り年