彼が部屋に入ると早速靴下を脱ぎ始めた。そして靴下を手につけて私をテーブルへ案内してくれた。私は彼と一緒にテーブルについて、向かい合った。彼は神経質そうに眉間にしわを寄せて痙攣的に動かしていた。彼はうっかりと脱ぐのを忘れていた帽子を脱いで席から立ち壁際の帽子かけに帽子を掛けて鍋を二つ持ってくると一つは私の前に置いてもう一つは頭にかぶった。そのまま席についてまた神経質そうに眉間を歪め、震えさせながら、無言で私を見つめていた。私はちらと彼の持ってきてくれた鍋を一瞥し、さっきの廊下にあった自動販売機で買ったオレンジジュースの栓を開けると鍋の中に注いだ。彼は驚いたように顔をしかめたが、その表情がセメントで固定されたみたいに固まってからは苛立っているように見えたし、実際苛立っていたのだろう。私は更にメロンソーダも栓を開けてから鍋の中へ流し込んだ。ソーダが白い気泡と無数の虫がざわめき蠢くような音を立てて