京都に住むのも残すところあと数ヶ月となってしまったのだし、少しくらいは思い出というか、どんな街だったかということくらい書き残しておかなければと思う。もちろん生まれた育った街でもなんでもないわけだから、よく知っているだなんてとても言えたものではない。だからといって部外者からの視点を提供できるわけでもなければ、名所旧跡を攻めまくったというわけでもないのだから余計いけない。私の敬愛する百鬼園先生もこう書いておられる。「だれでも知っている事を、自分が知らないと云うのを自慢らしく考えるのは、愚の至りである。そうは思うけれど、人が大勢行くところへ行きそびれて、そのまま年が経つと、何となく意地になる。そんなところへだれが行くものかと思う。」もちろんこの後にそんな偏屈をしたがための失敗談が述べられるわけだが、この気持ちはなんだかとてもよく分かる。だから僕もこんな時分から急いで行くなんてことはしないぞと偏屈