第11回 ファン活動と設定主義 『機動戦士ガンダム』が児童向けのロボットアニメでありながら内容が中高生向けとなった成立を考える上では、1974年の『宇宙戦艦ヤマト』によって「アニメファン」と呼ばれる新ユーザー層が確立したことの影響が無視できない。何より『ヤマト』が劇場映画として大ヒットした原動力は、放送終了後も熱気を持続していた全国のファンクラブ活動とその組織化された応援によるものであった。 『ガンダム』を新企画として立ちあげるとき、「受け手あっての作品」という意識、つまり「ファン活動を誘発するようにしたい」という想いは、大前提としてあったはずである。特に初期のほうには、ファンの存在を意識した部分が多々確認できる。たとえばシャアは、企画段階では『勇者ライディーン』で人気の仮面キャラクター「プリンス・シャーキン」を前提にしていると、多くのファンは受け止めた。シャーキンは女性ファンに人気の「美