第18回 前回は、著作権におけるアメリカの特殊な立場を概観しました。今回は、アメリカと日本との関係をたどってみたいと思います。 アメリカがベルヌ条約に加入しなかったため、ヨーロッパをはじめとする国々はアメリカと個別に著作権の取り決めをしなければなりませんでした。 日本がアメリカと著作権条約を結んだのは、1905年のこと(発効は翌年)。たった3条しかない条約で、注目したいのはその第2条。ここで、相手国の著作物を許諾なしに無償で翻訳出版してよい、と定められたのです つまり、アメリカ国内で発行されたアメリカ人の著作物に関しては、自由に無断で日本で翻訳出版できるということです(もちろん、逆に日本のものをアメリカで翻訳出版するのも自由)。 これはすごいですよね。もし、いまもこの条約が生きていて、最新のベストセラーを契約なしで印税も払わずに出版できたら、どんなことになっていたでしょう。 この条約のおか