【レポートのねらい】 わが国では、2001年ごろから一部の高成長地域への人口集中傾向が高まってきた。これは、大都市が輸出関連産業をけん引役として経済成長する一方で、地方では公共事業費が削減されたことなどにより低成長が続き、人口吸引力に地域間格差が生じたためである。 しかし、世界的な経済の失速により、2008年秋以降、企業の雇用マインドの悪化や海外戦略の見直しが進み、東京圏や愛知県などに向けた人口流動にも変化が生じている。 本稿では、これまでの国内外の人口の動きを整理し、新たな人口流動が生じる方向性とそれに伴う問題点について明らかにする。 【要 約】 1.本稿の目的は、地域間及び国境をまたぐ人口の動き(人口流動)を整理し、今後の人口流動の方向性とそれに伴う問題点について明らかにすることにある。 2.わが国における2008年夏までの人口流動は、東京をはじめとする大都市への流入が顕著で、とくに直