日立がMC6809のCMOS版として開発したHD6309は、当時、いろいろと話題になりました。このHD6309、実は、MC6809の表の顔を持つ16 bit CPUで、内部エミュレーションでMC6809のふりをしつつも実は拡張された命令体系を持ち、ネイティブモードに入ると本来の速度で動作するという仕組みになっていたからです。きわめて初期の日立の発表したデータには、ネイティブモードの仕様も記載されていました。しかし、契約と異なる拡張を勝手に行ったとMotorola社から抗議されると、ネイティブモードの項目をデータから削除し、表の世界から隠してしまいました。 しかし、目ざといアマチュアが、自前のMC6809を使用したコンピュータの高性能化の手段として使えないかと、この秘密を伝えていたのでした。また、CMOS化のついでに高速化され、MC6809が公称2 MHzのクロック版しか用意していないのに対