おれは最近テキーラばかり飲んでいる。ストレートでテキーラを飲んでいる。おれは酒を飲むとすぐに顔が赤くなった。酒に弱いと思われていた。ただ、顔が赤くなるだけだったのだが。最近では、ビール一缶くらいでは顔色が変わらなくなってしまった。 おれの父は酒に弱かった、という。が、週刊誌の記者や雑誌の編集者をやっているうちに、鍛えて酒を飲めるようになったたぐいの人間だ。結局、酒のせいもあって身体も心も壊して人生から降りてしまった。おそろしい、おそろしい。 おれの母は酒に弱い。弱いというより体質として受け付けない。勤め始めた銀行の歓迎会で生まれて初めてアルコールを飲んだところ、体中に蕁麻疹が出てぶっ倒れ、救急車送りになったという。 その母の祖母というのは、母の家系の中に伝説的なエピソードを残した。そうとうの高齢でも矍鑠とした人だったが、ある日とつぜん「わたしは一ヶ月後に死ぬだろう」と言って、それ以後いっさ