関西地方のある私立大学で、育児休業を取得した男性教員が大学を提訴する事態が起きました。育休を取ったことで昇給の機会を失ったという男性は、「育休取得を理由とした不利益な取り扱いにあたる」として、昇給分の給与を賠償するよう求めています。いったい何が問題とされているのか、明治大商学部のの藤田結子教授(社会学)が報告します。 育休を理由とするハラスメント(嫌がらせ)防止の措置を会社に義務づける改正育児・介護休業法が、2017年1月1日に施行されました。法律整備は着実に進んでいます。しかしながら、男性が育児休業を取得することへの理解はあまり広がっていません。男性中心の企業社会で、育児は女性の仕事という考え方や、育休取得が昇進や昇給に影響することを恐れる風潮が、まだまだ強いからでしょう。 ◇「子育てに関わりたい」と9カ月の育休を取得 大学教員の佐藤健一さん(40代男性、仮名)は、妻に4人目の子供