再会の瞬間は突然やってきた。 向こうから酩酊した弱そうなチンピラが駆け寄ってきて、手前でよろけてエビ的な動きを見せた。「えいじゅんさん、えいじゅんさん!」間近で見ると目が宇宙にイッちゃっている。その多幸感に包まれた男はおれが昔THE BACK HORNと別に組んでいた江戸末期系パンクバンドのベーシストだった。 ここは泣く子もキマる、とある音楽フェスの奥地のヒッピーゾーン。ライブを見、じゃがバターを食べ、ライブを見、酒を飲み、とやってるうちに気づくとそこはおしゃれ女子と酩酊したチンピラしかいない最果ての天国。おれはあくまでスタイリッシュにダンスをたしなみ、自慢のステップをおしゃれ女子へ南国の鳥よろしくアピールしてたところへ、そいつは現れたのだ。久しぶりに見る、ニヤニヤが止まらない顔面であった。 「やっぱりその気持ちわりい踊り方、えいじゅんさんだー。元気してましたぁ?おれはもう、完全にやらっち