ウクライナ侵攻に始まったエネルギー危機をきっかけに、東京電力福島第1原発事故で議論が止まっていた原子力への「回帰」が世界的に進んでいます。「日本はドイツの姿勢をまねるべきだ」と坂村健・東洋大INIAD学部長は訴えます。どういうことなのでしょうか。 世界がエネルギー危機だ。特にウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁と、その報復によるドイツのエネルギー危機がひどい。今年の冬を乗り切るため、環境政党の「緑の党」から率先して石炭火力の再活用を言い出しているし、長期的にも「原子力はクリーン」と方針を180度変えている。 「○○では……」と、何かにつけて海外の事例を引き合いに出す人を「出羽守(でわのかみ)」と呼ぶ。「ドイツでは再生可能エネルギーで国が維持できている。日本は遅れている」などがその例だが、現状を見ると疑わしい。それが本当であれば、そもそもロシアの天然ガスなど拒否できたはずだろう。 ドイツ