古代史=神話というイメージが拭えない。確かにロマンあふれる物語だが、真実ではないだろう。だが日本には『古事記』や『日本書紀』という過去の偉人たちが積み上げてきた第一級の資料が残されている。 ならば徹底的に科学で解明しようというのが本書の狙いである。著者は大学共同利用機関法人自然科学研究機構の科学者だ。坂本は「生理学研究所」でヒトの脳機能を、共著者の渡辺英治は「基礎生物学研究所」で動物の心理を研究している。歴史マニア同士が愛知県岡崎市にある研究所で偶然出会ったことからこの本は始まった。 ふたりが最も大切にしたこと、それは彼らが育った科学の世界の価値観だ。科学に求められるのは「再現性」。だが歴史的事実にそれを求めるのは不可能だ。ならば頼りしたのは何か。 まずは地名や建造物などの「モノ」。遺跡などの位置情報や正確な形はインターネットで簡単に手に入る。 次は「ヒト」。古代の人々の心も現代人とはそう
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