ケンムンまたはケンモン(水蝹[注 1])とは、奄美群島に伝わる妖怪。土地ごとに相違があるものの、概ね河童や沖縄の精霊(妖怪)であるキジムナーと共通する外観や性質が伝えられている[7][8]。 古くは江戸末期の文献『南島雑話』に「水蝹(けんもん)」と記述される[注 2][9]。相撲好きで人に逢えば挑戦するとされ(河童と共通)、画では頭に皿があって河童と同様な姿である[10]。かつては人害を及ばさず木こりや薪拾いが運ぶのを手伝う、目撃はまれで人家や人っ気の多いところから退散する、と記される[9][11]。別名「カワタロ」「山ワロ」との付記もみえ、ケンムンの一種に宇婆があるとしている[注 3][12]。 昔と今では、ケンムンの概念の変遷が生じている。すでに幕末の頃から、有益無害だという伝承は失われつつあった[14]。時代を経るにつれ、ケンムンは一転して危険で忌避すべき存在となった。木運びを手伝う