日本はいま未曾有の大混乱の中にある。つまりカオスだ。技術革新の大波は、情報通信のボーダレス化を促し、大企業といえども安閑とはしていられない時代だ。 新しい産業が次々と登場し、新興勢力が勃興する一方で、旧来勢力は市場から撤退を余儀なくされ、新旧交代が加速する。ビジネス・ルールも変わる。国際標準とか、ディファクトとかが猛威をふるい、いまビジネスマンを驚愕させるのはビジネスモデル特許攻勢だ。会計基準も決算処理も、新しいルールが適用される。 これは百年に一度あるかどうかの一大変革期といえるだろう。混乱期というのは新しいビジネスを生み出す絶好のチャンスでもある。カオスの世界には、底知れぬエネルギーが秘められている。旧来から墨守されてきた既得権益が崩れ、ベンチャーたちが活躍できるフロンティアが広がるからだ。とはいえ、私たちは羅針盤を持たない難破船に乗っているみたいで、まるで展望が見えてこない。荒波を乗
第1回 「金子直吉――鼠と呼ばれた名番頭(1)」 株価が急落を続け、経済はデフレの様相を示している。デフレとは経済の萎 縮を意味する用語だ。生産は過剰なのにモノは売れず、物価は下がるが、失業 者が巷に溢れ、社会不安が高まり、太平洋戦争へと一気につき進んでいったの が、昭和4年に起こった昭和恐慌だった。歴史は繰り返すというが、平成の経 済危機は昭和恐慌とよく似ている。昭和恐慌は金融制度改革、すなわち諸外国 に倣って「金輸出解禁」を踏み切ったことが直接の契機となった。現代の経済 危機は、橋本内閣の下でグローバル化という名のもとに行われた金融制度改革 がきっかけだ。さらに事態を悪くしたのは、金融危機が顕在化しているという のに、財政引き締めを、つまり行財政改革をやろうとしたことだ。財政が破綻 状態にあったことも、だから財政再建を急がなければならないことも、大型倒 産が相次いだことも、政局が混迷を
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く