不確定性原理は、「原理(principle)」と呼ばれているものの、実際には、量子条件から導かれる副次的な性質にすぎません。不確定性原理を用いた定性的な説明は全て、量子条件に基づいて定式化された理論(量子電磁気学など)から定量的に演繹できます。逆に言えば、量子電磁気学の定式化そのものに根ざしている無限大の困難を、不確定性原理を用いて解決することはできません。 量子電磁気学において、運動量(式を簡単にするため1次元で表記します)の値が p、エネルギーの値が E のとき、電子(あるいはその他の素粒子)は exp( 2πi (px-Et)/h ) という波動として表されており、「運動量が確定すれば(無限に拡がった平面波となって)位置が完全に不確定になる」という不確定性原理が満たされています。実際の素粒子反応について計算する際には、運動量やエネルギーに関して積分しますが、これらの積分は、運動量やエ