子供が算数のテストで60点取って帰ってきた時ほど反応に困ることはない。確かに正解は過半数を超えている。しかし4割は間違っているわけだ。 「よく頑張った! 半分以上はできてるじゃないか」とも言えない。それはいくら何でも褒めすぎだ。「4割も落としてるじゃないか! こんなもんだめだ!」とも叱れない。あまりに苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)であり子供の自信の芽を摘んでしまう。 しかし、こんなことで悩めるのも、対象が子供だからだろう。相手が大人ならどうだろう? 部下や同僚が作成する書類の4割に誤りがあったとしたら? あるいは取引先が出してくる見積書や請求書の4割が正確でないとなったらどうするか? 「半分以上は正解だからよく頑張ったね!」と褒める人はまずいまい。そして「4割も落としてるじゃないか! こんなもんだめだ!」と叱る人もいないだろう。「もう、君には頼まない」と、二度と相手にしなくなるはずだ。 厚