「はじめてわかる国語」(清水義範著・西原理恵子・絵:講談社文庫)より。 (清水さんと、古今の「文章読本」について分析した『文章読本さん江』という著書のある斎藤美奈子さんとの対談の一部です) 【清水:もうひとつ面白いのはね、文学的指導ね。つまり、「そのときどう思ったの?」というやつです。 斎藤:子どもの作文指導には、必ずそれがありますね。 清水:「目の前で友だちがペタンところんだ。先生が来て助けた」という作文があるでしょ。そのときあなたはどう思ったの? 心の動きを書きなさい、というね。 斎藤:そうそう、それがウザいんだ。 清水:私も最初はやっていたんです。そういうふうに書いたほうが、作文は豊かでいいものになるのかな、と。「みじめだなと思いました」とか「かわいそうだなと思いました」とか書いてあるほうが、「ころんだ」というよりもいいだろうと思っていた。でもどうしてもそれが書けない子がいました。