「危機突破のカギは農業にあり」-。メーカーや商社が、異分野の農業に参入するケースが相次いでいる。食の安全・安心への消費者の関心が高く、不況下でも安定した需要があるとの“勝算”からだ。屋内で光や温度、肥料などを管理して栽培する「植物工場」では、メーカーの持つモノ作りのノウハウを生かせる点も参入への垣根を低くしているようだ。(竹岡伸晃) 「野菜生産が新たな収益源の一つに育ってほしい」。不況などの影響で本業を取り巻く環境が厳しくなるなか、金網などの材料となる鉄線のメーカー、日亜鋼業(兵庫県尼崎市)は昨年6月、本社工場の一部で、3種類のリーフレタスの生産を始めた。 生産設備の再編で遊休状態だった建物を約2億円かけて改装。水耕栽培用のプラントや大型の空気清浄設備などを設置し、「植物工場」に模様替えした。 「鉄線製造で培った生産管理のノウハウを転用」(日亜鋼業)して、温度や湿度の状態、光や水、肥料など