欧米で同性婚の議論が高まる中、国内でも同性愛や性同一性障害など、性的少数者(LGBT)への差別禁止や配慮を明確に打ち出す自治体が出てきた。東京都文京区と多摩市は先月下旬、都内の自治体で初めて、性的指向と性的自認による差別禁止を盛り込んだ条例案を可決。多様な性を認める社会への一歩を踏み出した。内閣府や総務省の担当者は「同様の条例は把握していない」としている。 (奥野斐(あや)) 「外見で性別が分かりにくい私は奇異な目で見られたり、選挙の投票の際など人前で本人確認されたりするのが苦痛だった。日常の小さなことから変われば」。戸籍上の女性であることに違和感を持つトランスジェンダーの公務員(29)=文京区=は条例制定を喜ぶ。 区は先月二十七日、男女平等参画推進条例案を全会一致で可決。条文に「性的指向又(また)は性的自認に起因する差別的な取扱(とりあつか)い」の禁止を明記した。罰則規定はないが、学校や