日本のどこに住んでいても、国民は等しい「1票」を行使できるーーそんな、民主主義国家として当たり前のことが、ようやく実現するかもしれない。弁護士の有志らが、等しい「1人1票」を求めて全国各地で起こした裁判は、かつてないスピードで審理が始まろうとしているのだ。 昨年12月16日に行われた第46回衆院議員総選挙は、最高裁に「違憲状態」と指摘された区割りのまま実施された。翌17日、弁護士グループは、この選挙は無効だとしてやり直しを求める27件の訴訟を東京、大阪、名古屋、福岡など全国14の高裁・支部に合わせて27件の訴訟を一斉に起こした。 弁護士グループの中心となってきた升永英俊弁護士は、次のように指摘する。 「議会制民主主義においては、国会での多数決で物事を決めていくが、それが正当化されるのは、主権者である国民の多数意見を反映しているから。ところが日本では、国民の少数が国会議員の多数を選んでいる。