残念ながらまだ見ることができずにいるのだけれど、いままでに目にした議論から推測して、『ヱヴァ:破』の感想を走り書きしておきます。 まず、『破』は二次創作だからいいのだという評価も、また二次創作だからいけないのだという批判(原作レイプ云々)も、同様に問題をとりのがしている。重要なのは、『ヱヴァ』が(そして結局は『エヴァンゲリオン』が)二次創作とならざるをえないことの必然性を、どの程度フィルムが体現しているかという点にほかならない。実際『ヱヴァ:破』は、『エヴァンゲリオン』というプレテクストの存在を露骨に前提としており、その意味で二次創作であることを隠さない。このプレテクストにほどこされた操作は、しばしば指摘されているとおり、どこまでも換喩的なものだ。鶴巻は、物語の連辞関係を保ったまま(襲来した使徒をエヴァで倒すという骨格は変わらない)、範列関係にある要素を置換することで、物語を横滑りさせてい