グラフィックデザイナー杉浦康平さんをお迎えして、新刊『文字の美・文字の力』から、「壽」(じゅ)文字の変化の様から、漢字の不思議、面白さをお話いただきました。 60年代終わり頃から、ドイツで教鞭をとることになったときに、杉浦さんは、「私」はアジア人の一人であると思い、日本人、アジア人であるというアイデンティティーを逃れることはできないと強く思ったそう。その後日本に帰国後、アジア、日本について特に文字の研究を始められたそうです。 壽の文字の始まりは、甲骨文字から。老人・田の畦道(あぜみち)・サク(お祈りの道具)・手(芽)の形から出来上がっていて、老人の長寿を意味する福を招く文字。他にも吉祥文字というのがあり、禄(ろく)・福(ふく)など。禄は、鹿(ろく)、福は蝠(ふく)にも通じ、シカの絵や蝙蝠の絵は、中国では福を呼ぶ絵として、様々な場面で使われます。また桃も、子宮を意味し、生命の象徴として、桃の