「君は原発推進勢力が君の右足を引っ張っていることに気を取られているだろう。それは確かだ、間違いがない。そしてそのせいで4年ほど前に転んで大怪我をしたことは知っている。しかしどうして君の左足ももう一つ別の力に引っ張られていることに気がつかないのか。そうでなければ、君がこうして残酷にも二つ裂きになることはなかったのだよ。」 盗まれた怒り 放射能おばけは、恐怖を煽る誤った言説(デマ)なしには存在しえない。もっともこれまでも心ある人々によって、放射線問題にまつわる一つ一つのデマを否定する努力はなされてきた。その努力はデマに囚われた人々を自由にするためのものであったにもかかわらず、往々にして、かえって敵意をもって迎えられてきた(1)。したがって放射線おばけを肥えさせるデマについて考察する場合、人々が反目しあっている状態がなぜ生じているかをもう一度虚心に考える必要がある。 人々の不信の発端は、福島第一