北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 武論尊・原哲夫/倉尾宏 時は世紀末。 海は枯れ、地は裂けた世界。 弱きを傷つける悪に立ち向かう革ジャンの男。 敵を華麗に倒す姿に大きな叫び声が重なる。 「カーーーット!」 枯れた海も、裂けた地も大規模なドラマセット。 これはドラマ『北斗の拳』を日夜撮影する者たちの血と涙と汗の記録。
唯一の目撃証言は4年前 “最初の事件”は2019年7月16日午前4時、世界自然遺産・釧路湿原の北に位置する標茶町オソツベツ地区の牧場で発覚した。牧場関係者が放牧中の牛1頭の姿が見えないことに気付き、捜索したところ、森の中で無惨な姿で殺されている牛の死骸を発見したのである。その関係者が思わず声をあげると、20メートルほど離れた藪の中から1頭のクマが飛び出し、逃げていった。後々まで、これがこのヒグマに関する唯一の目撃証言となる。 写真はイメージ ©iStock.com 以来、8月5日に8頭、8月6日に4頭、8月11日に5頭……といった調子で連日牛が襲われるようになり、その被害は2ヵ月で実に28頭に及び、現場に残された体毛のDNAにより「同一犯」によるものと推測された。この頃になると、最初の事件が起きた地区の名前「オソツベツ」と、現場に残された足跡の幅が「18センチ」とされたことから、このヒグマ
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