あのときのことは今でも鮮明に覚えている。 深夜零時をまわった頃、オレンジ色の豆電球に照らされた室内で、わたしは生後数週間の娘を抱いて涙を流していた。 当時、娘の授乳に苦労していた。 母乳の出は順調だったのに、娘がなかなかおっぱいに吸いつけなかったことで、授乳のたびに何時間も費やしておっぱいをくわえさせる練習をしていた。 出産してから毎日ずっとそんな感じでろくに寝る時間も確保できなかったから、疲労は溜まり続ける一方で、うまく事を運べない自分への苛立ちや不安もつのるばかりだった。 その日もなかなか授乳がうまくいかずに時間だけが過ぎていき、わたしも娘も体力を消耗し続けた。 娘の泣き声が家中に響いていた。 わたしは途方に暮れ、娘に「こんなママでごめんね」と言った。「これ以上なにもしてあげられないの」と。 不甲斐ない、情けない、もう嫌だ、逃げ出したい… そのとき、仕事を終えた夫が帰ってきた。 薄暗い