ロシア軍が包囲攻撃を続けるウクライナ南東部の要衝マリウポリでは、ウクライナ軍と共に内務省傘下の戦闘部隊「アゾフ大隊」も抗戦している。元々は極右グループを中心に結成されたこの組織はネオナチ思想との関連性が指摘されたこともあり、「ウクライナの非ナチ化」を掲げるプーチン露政権にとって格好の標的だ。アゾフ大隊の実像とロシア側の実情を探った。 極右グループ基盤に創設 内務省に編入 アゾフ大隊の誕生は2014年にさかのぼる。この年の2月、親欧米派の市民と民族主義者らによるデモが親露的なヤヌコビッチ政権を崩壊させたのが始まりだった。プーチン政権は反撃として南部クリミア半島を軍事制圧して一方的に編入、東部のドネツク、ルガンスク両州では親露派武装勢力とウクライナ軍の戦闘が始まった。 ウクライナでは当時、兵力が不十分な軍を補強するため、オリガルヒ(新興財閥)の資金拠出で民兵部隊が次々生まれた。極右グループを基