すでに見たように1980年代の経済成長率は84年の例外(+7.3%)もありますが平均的に見て低いといえるでしょう。ところがよく見ると、この低い成長率も政府、個人、ひいてはアメリカ全体が借金を著しく増やすことによって、やっと成し遂げられた観があるのです。別の言い方をすれば、アメリカ経済はマクロ的に自国で生産した以上に消費したのです。この点を、部門別に貯蓄・投資の関係から見ましょう。 マクロ経済学の基礎から、事後的には民間部門と一般政府の貯蓄投資差額(バランス)を合計した額は、海外部門の純貯蓄(経常海外余剰)に等しいのです。これは以下のように導出できます。 Y = C + I + G + E - M (1) Y = C + S + T (2) (1)式はGDPを支出面から見たものです。すなわち、GDP(国内総生産:Y)は民間消費(C)、民間投資(I)、政府支出(G)と純輸出(輸出マイナス輸入: