住宅用火災警報器の設置が義務化された後、各地で相次ぐ住宅火災のなかに、火災警報器をつけていても多くの人が死亡するケースが出ている。警報音が別の部屋に届きにくかったり、外部に伝わらなかったりするなど、住宅用火災警報器の死角が浮き彫りになった。 今年1月1日に6人が死亡した富山県南砺(なんと)市の住宅火災では、木造2階建ての1階台所と居間の2カ所に警報器が設置されていた。昨年6月、広域事務組合の火災予防条例が改正され、既存住宅への設置が義務づけられた。砺波(と・なみ)広域圏消防本部によると、この民家にあったのは、すべてが一斉に鳴るマンションなどの自動火災報知設備とは違い、煙を感知した部屋だけで鳴るタイプだったという。 火元は1階居間付近とみられる。住んでいた女性は1階の寝室で、帰省した家族は2階で寝ていた。警報音は70デシベル以上とされ、同じ部屋の中なら気づくが、離れた部屋では気づきにくい