大阪ガスが「NEXT21」のプロジェクトをスタートさせたのは1990年、バブル経済真っただ中の時期である。同社はそれまでにも1968年、1985年に実験住宅を建設しており、本業にかかわる住宅設備について、生活の中での実験を行ってきた。 「住宅では設備のビルトイン化が進み、社会では『パラダイムの転換』という言葉が話題になっていた時代でした。住まいについてもこれから大きな変革が起きるのではないか、そんな期待があり、であれば事業範囲を超え、変わりゆく住まいの姿を含めて実験・検証をやっていこうと計画されたのがNEXT21でした」(大阪ガスエネルギー・文化研究所主席研究員 加茂みどり氏)。 計画実施にあたっては社外の有識者をメンバーに迎えて建設委員会を設置、長期にわたって使える可変性の高い建物を計画した。具体的には建物の骨格となるスケルトン(構造躯体)と生活に合わせて自由に変えられるインフィル(住戸