◇1人当たりGDPが1万ドルになる2014年ごろが目安 中国、インドなど新興諸国の高度成長がいつまで続くのかという問題は、先進国にとっても重要な検討課題になっている。これに対して、アカデミズムはどう答えるのだろうか。 このような長期予測に関しては、通常のマクロ経済モデルによる演繹的推計では不確定要因が大きくなり過ぎて対応できない。そのため、経済学の一分野である「発展段階論」を用いるべきであろう。発展段階論で世間に最も知られているのは、米国の経済学者で国家安全保障問題担当大統領補佐官も務めたウォルト・ロストウによる分類である。そこでは、一国経済は、「伝統的社会」に始まり、「高度大衆消費時代」に至る5段階の発展段階をたどるとされる(囲み参照)。現在では、経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)がこの分野の主たる研究委託者であったこともあり、元OECDエコノミストのアンガス・マディソ