『ポル・ポト ある悪夢の歴史』(フィリップ・ショート 白水社)を読む。 1975年からおよそ三年のあいだカンボジアを支配し、恐ろしい粛正によって150万人の自国民を殺害したクメール・ルージュの指導者ポル・ポト(本名サロト・サル)の伝記である。徹底した秘密主義を貫きとおし、自分の本心も決してあかさなかった男の生涯を膨大な資料からあぶり出す力作。一気に読まされた。 興味深い指摘は多々あるが、いちばんなるほどと思ったのは劣等生だったポル・ポトをはじめ、イエン・サリやキュー・サムファンといったクメール・ルージュの指導者たちが、いずれもマルクスをちゃんと読んでいなかったという話である。『共産党宣言』はともかく、『資本論』は難しすぎて読めなかった。だからクメール・ルージュの革命思想は本当にマルクス主義なのかどうかもよくわからない、というのだ。むしろカンボジア伝統の上座仏教の影響を強く受けているとされる
![ポル・ポト ある悪夢の歴史 - 映画評論家緊張日記](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/412e315200e66a9c775d79b093cc674917450009/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fgarth.cocolog-nifty.com%2Fblog%2Fimages%2F2008%2F02%2F18%2F51cnxleymwl_ss500_.jpg)