自宅近くのファミリーレストランをよく利用する。何人ものスタッフがいる中、一番愛想が悪くて、いつも顔に疲労感を漂わせている男性が目につく。名札を見ると店長だった。店の状態は明らかに人手不足だ。 都内有数の幹線道路沿い、24時間営業のファミレス。激務に違いない。彼もまた、残業代なしで限界まで働かされる「名ばかり管理職」のひとりなのだろうか。 人口に膾炙した感のある、その「名ばかり管理職」の実態を、名づけ親であるNHKテレビの取材班が、今年3月に放映された番組(NHKスペシャル)を再構成したのが本書である。 元はテレビ番組だけに、インパクトのある事例の紹介が中心で、読みやすい。労働法専門の学者やジャーナリストが書いたら、もっと詳しく、込み入った内容になっただろう。そこが本書の長所でもあり短所である。 冒頭で紹介される2人の事例が悲惨だ。 ひとりはコンビニの元店長で、アルバイトが抜けた穴を自ら埋め
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